この半年、本を読んでいる途中で、これほど何度もページを閉じては考えにふけた本はありません。
オリバー・バークマンの「限りある時間の使い方」はやりたいこと、やってみたいことが沢山あるという人にぜひ読んでほしい。というか、人生が満たされていない人全員が必読の一冊。
一見タイトルを見た感じは、どこにでもある時間管理術の本かと思いますが、内容は時間という本質について鋭く書かれた本です。
どちらかというと、哲学に近い内容かなと。
ほとんどの人は将来やりたいこと、やってみたいことが沢山あると思います。
もちろん僕も沢山あります。
そんなとき、どう考えますか?
「この仕事が落ち着いたら」「お金が溜まったら」「定年退職したら」、こんな感じに考えるのが普通です。
つまり、やりたいことを将来やるという未来型の考え方です。
この未来型の考え方が、現在のストレスや不安を増幅させる考えだということについて書かれているのが「限りある時間の使い方」。
なぜ僕たちはやりたいことを現在ではなく、未来にしようとするのでしょうか?
その答えを、著者のオリバー・バークマンが教えてくれます。
未来は必ず訪れコントロールができるという幻想
僕たちが日頃から考えている未来というものは、確実に存在するものではなく、コントロールすることもできないと、著者のオリバー・バークマンは説明しています。
未来は現在の連続が過ぎた後、過去から振り返っての未来であって、明日という未来でさえ存在しない。
そんな存在がしないものを、自分の思うようにコントロールしようとしても無駄だということ。
たしかに、自分の人生がいつ終わりを迎えるのかは誰にもわかりません。
1年後かもしれないし、半年後かもしれない。
もしかしたら、急な事故や病気で数時間後に人生が終えることもありえます。
つまり、普段考えている当たり前に訪れるであろう未来というのは、実は存在しないと考えるべきなのです。
存在もせず、コントロールすることもできない未来を、すべて思い通りに進む未来に照準を合わせて物事を考えるから、予定外の出来事に計画が狂わされ、やりたかったことがいつまでできない状態を生み出します。
どうなるかわからない未来に照準を合わせるのではなく、やりたいことがあったら今日から取りかかることこそが、本当にやりたいことを実現できる道ということです。
計画を立てることは無意味なのか?
未来に照準を合わせないなら、将来についての計画は意味がないのか?という疑問が浮かびますが、それについては意味はあります。
計画というのは、自分がこうなりたいと思う姿への、今日の課題だと僕は考えます。
確かに未来は約束されているものではありません。
それでも今日の連続が未来を作り出すなら、今日やったことが未来の自分を作り上げることになるので、計画を立てて、その日1日を過ごすのは正しい行動です。
過去を振り返ったときに、さまざまな出来事の積み重ねが現在の自分を作り上げているので、計画を立てるのは無意味ではありません。
ですが、計画を立てても完璧にコントロールなんてできないことは、必ず心に留めておかなければいけません。
予期しないことで予定通りうまく進まなかったとしても、それは当たり前のことだと捉える心構えが必要。
未来を良くしようという努力には何の問題もない。本当の問題は、その努力が成功するかどうかを、今この時点で確実に知りたいと思う心理にある。それが不安を生むのだ。
引用元 : 限りある時間の使い方 P142
未来への不安なんて考えず、なりたい自分に近づくためには今日どうしたらいいのか、今この瞬間だけに集中するのが最善策です。
やりたいことは今日から始めよう
僕たちがいつかやろうと考えていることは、必ずそのいつかが訪れるという思いこみの上で、物事を考えているということです。
10年後は必ず訪れるから、その時になったらやろうと考えるのは間違い。
いつも「時間ができたらやってみたいなぁ」と、頭のなかでモヤモヤしていることがあったら、今日から取り組んでください。
僕たちの生は永遠ではありません。
遅かれ早かれ必ず終わりを迎えます。
そのうえ、いつ終わりを迎えるか誰にも知ることはできません。
いつかやりたいと思っていたことが、まったく出来ないまま終了する人生は満足できますか?
終わりの瞬間、100%悔いのない人生というのは難しいかもしれませんが、少しでも悔いのない人生を送るためにも、未来ではなく、今に集中して生きてみてはいかがでしょうか。